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虚無の一日と希望。曇り空のシュリナガル、町の景色。
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朝から心も外も曇...
2018年5月
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虚無の一日と希望。曇り空のシュリナガル、町の景色。
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朝から心も外も曇っていた。宿は朝から停電を起こしている。虚無感と悲哀で、気持ちは麻痺していた。この日、自分の顔には一日中、虚無が張り付いていたことだろう。客引きたちのお陰でシュリナガルを好きになる気持ちはほとんどすべてなくなっていた。午前中、宿に近い山上の、歴史古いヒンドゥー寺院に行ってみたが、ただ退屈だった。写真の多くはその往復で撮ったものだ。裏通りを歩いていったから、客引きにはほとんど声をかけられずに済んだ。だが、シュリナガルでは何かを買うにしても腹立たしいこともある。もう散々書いたので書かないが、この日も静かにキレたり睨んだり、腹の立つことはいくつかあった。ただ、この静かな曇り空はいいな、と思う。シュリナガルも、こうやって裏通りだけを写すと華やかさとは無縁の町に見えてくる。一歩湖の通りに出るとそこは客引きたちの巣窟だ。この静かな山側の通りをしばらく歩く。それだけは良かった。宿に戻っても停電は続いており、窓からわずかに届く光が薄明かりを投げている。ベッドに横になり、少し眠ったり、ぼんやりとして過ごした。この町で行きたい場所はもうどこにもない。結局、翌日行こうと予定していた場所は行かないことにした。またシュリナガルの町に戻ってくるのは面倒だったので、そのまま、次の目的地であるチベット文化圏、レーへと向かうことにした。レーへは高地を通り、バスで一泊二日かかる。長い旅だ。夕方近くに目覚めると雨が降っていた。少し瞑想をしてから、早めの夕飯を摂りに宿を出る。これまで10ルピー単位で節約していたが、今日はタガを外して、何をどれどけ食べてもいいと自分に許可した。と言っても普通量なのだが。雨は途中で止み、曇りの町をぶらぶらしながら目星を付けていたピザ屋でピザを頼む。チーズとタンドリーチキンのものだったが美味かった。この旅で一番高い料理だった。結局食べ切れず残したが。目障りな声かけをかわしつつ歩き、今度はダル湖の前にあるコーヒーショップで、まともなコーヒーを貰う。日本のものと遜色ないフィルターコーヒーを飲めたのはインドへ来て初めてだ。窓の外の薄青い情景を眺めて飲むコーヒーは美味かった。ぼんやりと、しばらくそこにいて身体を暖めた。宿へ戻りしばらくすると、ようやく電力が回復した。熱いシャワーを浴び、少しすっきりする。瞑想後、あと僅かになり始めた旅の予定をイメージしようとガイドブックを覗く。これからどうなるか、実際どうなのかわからないが、ガイドブックを眺めていると少しずつ楽しみな気持ちが顔を出していた。レーへ行って、そこが楽しいかもしれない。そして、その後に行くマナーリーという場所はとてもいい場所だと聞いていた。また、行きに飛ばしていたリシケシという場所にも行こうかと閃いた。ここは北インドではとても有名で、瞑想やヨガ、アシュラムの道場が密集する美しい場所だ。観光地なので、天邪鬼な自分はあえて飛ばしていた。だが今はなんとなく楽しみになっていた。そうこうしてガイドブックを眺めていると、何か虚無感の中に光が射し始めた。明日は7時前に宿を出て、そこから一泊二日かけ、まずはレーへと向かう。次の意図や希望が見えているだけで、その足取りは少し軽くなった。行く先で何が待ち受けていても、それは自分で決めたことだ。何があるかは誰にもわからない。人間に先のことはわからない。これを書いていて思い出した言葉がある。もとはブッダの言葉だそうだが、ハンピで出逢ったキム君が教えてくれた、とても素晴らしい言葉だ。こんな金言を教えてくれたキム君に感謝したい。
この言葉のように、ただ自分とともに進みたい。 「犀(さい)の角」
寒さと暑さと
飢えと渇(かつ)えと
風と太陽の熱と
虻(あぶ)と蛇と
これらすべてのものにうち勝って
犀(さい)の角のように
ただ独り進め

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